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​​事例から見るコロナ禍で進む製薬業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)

コロナ禍の影響で、人が直接会うことで事業を成り立たせてきた企業が、自社の事業活動の見直しを迫られています。特に影響が大きかったのは製薬業界でしょう。病院での院内感染などを防止するための規制に、製薬会社も対面を中心とした事業活動を変えることが求められています。そんな中で、製薬会社においても、デジタルトランスフォーメンション(DX)を推進し、これまでの事業活動からの変革が急務となっていいます。

実際に、製薬業界ではどのような変革を迫られ、DXに対してどのように取り組んでいるのでしょうか?

ここでは製薬会社におけるDXの取り組み事例を中心に、製薬業界での現状を解説していきます。製薬業界でどのようなDX推進を行っているか、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

コロナ禍で変革を迫られる製薬業界

新型コロナウイルスにより、製薬業界はあらゆる事業活動の見直しを迫られています。具体的にはどういった問題に直面しているのでしょうか?

医療機関での訪問自粛要請

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、製薬会社のMRは、病院側から訪問自粛をするよう要請されたため、オンラインを通して情報提供することを求められるようになりました。

特にこれまで製薬会社のMRは、医療機関に所属する医師に対して、対面で情報提供することで関係性を構築し、企業の売り上げに貢献をしてきました。しかしコロナ禍においては、直接医療機関に訪問することが難しくなっているため、こうした人海戦術をメインにした事業活動は見直しを迫られています。

受診抑制による医薬品市場の停滞

新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関における診療体制のひっ迫などから感染者以外の患者を受け入れることが難しくなり、受診抑制の状態が続いています。

国内主要製薬企業18社における2020年4月から9月の決算では、前年同期から1.5%の売上高減、営業利益は13.4%減と受信抑制の影響からか、医薬品市場の停滞が製薬企業に大きな打撃を与えています。

現在では新規感染者数も減っており、今後は市場回復の兆しが見込めます。しかし、現時点では、医療機関の受診患者数もコロナ以前の水準まで回復していないため、依然として厳しい状況が続いています。

製薬業界で取り組まれるDXとは?

製薬業界では人海戦術に頼った事業活動の見直しを求められ、デジタル化への対応が急務となっています。そんな中、多くの製薬企業でDX推進に対する取り組みがされています。

ここでは具体的に製薬企業で行われているDX推進の取り組みについて紹介をしていきます。

MR活動からデジタルマーケティングへ

従来の直接面談による営業手法から、デジタルマーケティングを活用した手法が数多く取り入れられるようになりました。

具体的にはオウンドメディアを活用して、自社医薬品に関連した情報を数多く発信する手法や、オンラインセミナーを活用し自社医薬品の適正使用情報を発信することで、エンドユーザーである医師への訴求を行っています。

また最近では、医師とのコミュニケーションツールとして「LINE WORKS」のようなビジネスチャットツールを導入する企業も増えています。

治療アプリの導入

従来は医薬品を内服するなどして治療を行っていましたが、最近では治療用アプリが保険適用になる事例も出てきています1

2020年12月には株式会社キュアアップより、世界初となるニコチン依存症治療のアプリとして「CureApp SC」が保険適応となりました。
(参考)世界初のニコチン依存症治療アプリ「CureApp SC」本日12月1日より販売開始保険適用で「医師によるアプリの処方」始まる

こうした治療アプリの登場により、治療における患者の利便性の向上も期待ができます。コロナの影響で、近年浸透しつつあるオンライン診療とも相性がよく、今後も感染症対策により続く、受診抑制の問題にも対応できる可能性が見込めます。

DX対応のための新部署設立・他業界との連携

今後も、医療業界においては、DX推進が引き続き求められていきます。そうした中でDXを推進するための社内体制はもちろん、他業界との連携なども積極的に行っていく必要があるでしょう。

製薬会社においては、DXを推進するために専門の部署を配置したり、他業界との連携事例が増えています。

中外製薬では日本IBMと協働をすることにより、生産機能のデジタルトランスフォーメーションを推進していくことを発表しました。

直接営業からデジタルマーケティングへのシフトだけではなく、こうした医薬品の生産体制においても、効率化を図るためDX推進が図られています。

製薬会社のDX成功事例

それでは実際に製薬会社でDXを推進し成功した事例を2社紹介していきます。

【ファイザー】リモートコミュニケーションプラットフォーム「my MR君」の導入

ファイザー株式会社は、エムスリー株式会社が提供するコミュニケーションプラットフォーム「my MR君」を在籍する全MRに導入することを発表しました。

「my MR君」とは、エムスリーが提供する医療従事者専門サイト「m3.com」上で医師と直接コミュニケーションをとることができるプラットフォームです。

このプラットフォームを導入することで、従来のMRが直接対面で情報提供する方法から、オンライン上で医師とコミュニケーションを取ることが可能になりました。「m3.com」に登録している医師は30万人以上と、実に日本の医師の9割以上になるので、これまでよりも幅広い医師に対してアプローチが可能となります。

(参考)中外製薬、デジタルプラントの実現を目指し、日本IBMと協働で生産機能のデジタルトランスフォーメーションを展開

(参考)ファイザー リモートコミュニケーションプラットフォーム「my MR君」の全社導入を決定

感染拡大は収まりつつも、未だに医療機関への訪問自粛が長期化している中で、より効率的かつ幅広い医師に対してのアプローチを実現しています。

【ノバルティス】2種の治療支援プラットフォームサービスを提供

ノバルティスファーマ株式会社は、慢性特発性血小板減少紫斑病(ITP)の患者の治療支援を目的に、メディカルノート社と協働した「ITPお悩みチャットボット」サービス、及びWelby社と協働した「WelbyマイカルテONC」サービスを開始しています。

コロナ禍の状況では、以前よりも患者が通院しにくいという問題が増えています。通院頻度を減ったことで、医師とのコミュニケーションが減少し、日常生活上で疾患に対する不安や疑問が解消できないことが課題となっています。

ノバルティスファーマが提供する2つの治療支援サービスは、チャットボット上で患者が医師に対して質問できる体制を整えたり、スマートフォンのアプリを通して自身の病状を記録し病状把握をしやすくしたりするなど、通院時以外での治療をサポートしています。

上記の治療支援サービスを通して、コロナ渦での患者の通院負担の軽減と治療の利便性の向上を実現しています。

今後期待される製薬業界でのDX

製薬業界では現在主に営業手法やマーケティング手法に関してDXが推進されています。

今後は医薬品の生産体制においても、DXが推進され実用体制へと移行する可能性があります。

日立社では、再生医療において医薬品生産体制のDX化に取り組んでいます。

“DX Solution for Regenerative Medicine: Helping Usher in a New Era of Personalized Healthcare”

上記の記事によると、日立社では再生医療用医薬品の生産体制によって、具体的に以下のDX化推進に取り組んでいます。

・個別の患者の健康状態に合わせて行う、オーダーメイド医療において重要とされる「バイオマーカー」発見プロセスを、AIにより効率化。

・再生医療用医薬品の生産において、製造システムMESによる生産プロセスの効率化、及びハンズフリーシステムによる衛生面の確保及び品質向上。

・再生医療用医薬品のサプライチェーンにおけるデータを医療機関、製薬会社、物流などの再生医療に携わる関係者、全てが確認できる共通プラットフォームの開発。リードタイムと品質改善に貢献できる。

こうした医薬品の生産体制が効率化することにより、新薬上市のスピードが向上するだけでなく、より質の高い治療法を用いた医療が実現できる可能性があります。

まとめ

ここまで具体的な事例をベースに製薬業界のDXについて解説をしてきました。

製薬業界では、営業マーケティング手法を中心に、コロナ禍をきっかけとして急速にDX化が推進してきました。今後も医薬品の生産体制を含め、よりDX化の流れが促進されることが予想されます。

今後も続いていく製薬業界のDX化の流れに目が離せません。

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