新型コロナで生活が激変した今、特に注目されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。海外に比べて日本国内の企業ではDXがあまり進んでおらず、導入しているのは一握りです。
しかし、DXは業務の効率化や障害リスクの軽減、事業の継続など業務を根本的に改善させる上で欠かせないです。中でも、この記事で取り上げるデータセンターのDX化は、
コロナ渦で時短勤務やリモートが増えた今、特に企業の効率化に大きく貢献するでしょう。
DXによるデータセンターの運用は、クラウドサービス化され、データの運用をクラウドで行います。
今回は日本の企業がDXによるデータセンターの運用をした事例を3つ取り上げます。
事例1 SBSリコーロジスティクスのデータセンターの改革
SBSリコーロジスティクスは株式会社リコーの精密機器輸送を手掛けるメーカー系物流会社で、現在では国内外100拠点以上有するグローバルな会社です。
SBSリコーロジスティクスがデータセンター改革をしたのは、業務サーバーの保守切れで安定した業務を続けるのが困難であったため。他にも、物理サーバーが分散して保管が大変なことやコストがかかること、オンプレミスで運用・保守・メンテナンスのコストがかかることです。
SBSではこれらの課題を解決するため、業務に影響を与えないレスポンス性能と事業拡大に合わせた柔軟なスケーリング対応し、365日24時間監視体制ができるシステムを導入。
実際に採用してからはプライベートクラウドにより性能と拡張性を最適化できました。また、仮想サーバー環境に最適化して1ラックに4サーバーを集約でき、保管のコストと手間を減らせました。また、24時間365日の監視体制で年間数百万円のコストを軽減も叶えられました。
クラウド化する上で多くのメリットを得られながらも、お客様のデータをパブリッククラウドで運用するために許可を取る上で、多大な時間がかかるなどの大変な部分もあったそうです。また、十分なネットワーク帯域を確保する上で思った以上にコストがかかることもありましたが、導入してから良い方向に進んでいるそうです。
(参考)https://msp.cec-ltd.co.jp/case/case05/
事例2 株式会社ジェーピーの中国ビジネスを支える運用
2つ目の事例は株式会社ジェーピーによる中国ビジネスを支える販売管理システムの運用です。
導入に至るきっかけは、中国現地法人向けの販売管理システムを構築することを決定しましたが、条件を全て満たすようなデータセンターが中国国内で見つけられなかったことです。
また、海外のデータセンターを利用する上ではセキュリティの問題やトラブル発生時の対応、現状の把握や対応、サービス品質が低下してしまいます。データセンターの運用ではネットワークの整備が欠かせないため、現地に適したネットワークや関連の機器を調達・設定するのは手間と時間、コストがかかります。
これらを考慮した上で株式会社ジェーピーは信頼性基準が高いソフトバンクグループのデータセンターを導入。世界トップレベルで安心安全性に長けており、日本語にも対応しているので、安心してシステムを稼働させられます。
また、日本語対応の部分では、隣接する拠点に日本人スタッフも常駐しているので、何かあったときにいつでも相談が可能。インフラの構築時から対応してくれたそうです。
データセンター運用をする上では、ネットワークの整備まで全て対応してくれ、安心して任せられたそうです。稼働はこれからですが、中国のビジネスを支えることができるシステムが構築されました。
(参考)https://www.softbank.jp/biz/case/list/jpic/
事例3 ミニミニグループのネットワーク2社統合
3つ目は2社のネットワーク統合で運用効率が上がった事例です。ミニミニグループは不動産系の会社で、ネットワークやサーバ構築などが課題でした。
導入に至ったきっかけは、ミニミニとミニテックが同居している事務所でアクセス回線を2本引いたり、それぞれに別の担当者を置いたり、効率が悪くて大変でした。また、ミニミニ系のネットワークは障害が多く、顧客からの信頼性にも不満がありました。ヘルプデスクには毎日数回から数十回の入電があり、業務に支障をきたしていました。
この状況を改善すべく、ネットワークの全体最適化に着手。回線の統合で効率化し、データセンターの機能集約、運用管理サービスの活用。
これらの改善で得られた効果は、運用と人員的な効率がアップしてコストが削減されました。また、ネットワークの最適化で障害が減り、ヘルプデスクの入電が大幅に減りました。また、サーバーを全て集約したため、365日24時間の運用監視ができています。
顧客からの信頼性が上がり、業務の効率も上がったので、導入前に抱えていた課題を解決できました。
(参考)https://www.softbank.jp/biz/case/list/minimini/
まとめ
DXによるデータセンターの運用は日本では導入が浅く、まだまだこれからという状況です。現在はいち早く導入が求められている状況で、コロナ禍では特に必要とされる取り組みでしょう。
データセンターのDX化は顧客の情報を取り扱うため、セキュリティー面に心配な声や懸念の声が挙げられています。そのため、多くの企業はセキュリティ面や顧客からの信頼性を欠かせない理由から導入しない場合もあります。
しかし、セキュリティー面で懸念されているとはいえ、この記事で紹介した3つの事例を見て分かる通り、顧客の情報は厳重に取り扱われ、サービスによっては365日24時間の監視体制が整っているので、情報は厳重に保管されます。
データセンターのDX化は業務の効率化を測れるのはもちろん、顧客からの信頼性も上がるので、両者にメリットが大きいです。これから様々な業務でDX化が増えますが、この時代を生き抜くためにもDXの取り組みが欠かせないでしょう。今まで全く取り組みしてこなかった企業は、まずはデータセンターのDX化から始めてみてはいかがでしょうか。