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【DX導入コラム】スマートグラスを工場に導入してみた(体験コラム)

はじめに

スマートグラスとは?メガネ型の形状をしており、通常のメガネと同じように身体に装着し、

使用するウェアラブル端末の1つです。

基本的にはスマートグラスを掛けた人が映像や情報を見たり、スマートグラスに内蔵されたカメラの目線映像を撮影したりといったことができるデバイスとなります。

実際に見ている光景に映像や情報を重ねて表示したり、グラスを掛けた人の目線映像をインターネットを介して、遠隔地と共有したりといったことが出来ます。

スマートグラスを工場に導入しようと検討されている方の悩みを、解決できるような記事となれば幸いです。

工場にスマートグラスを導入した経緯

私は、一部上場企業のメーカーで半導体製造装置を製造する工場に勤めています。役職としては、工程のリーダーを任されておりました。

スマートグラスを導入しようと思ったきっかけとしては、新規工場の立ち上げのプロジェクトがスタートし、メンバーに選出されたことです。

プロジェクトが始動して半年間、新規工場メンバーにOJTを実施しました。OJT自体は無事に完了したものの、新規工場にはベテラン社員がいないために、トラブルが多発していました。

トラブルを解決するために、電話やタブレットでやり取りをしながら、コミュニケーションをとっていましたが、なかなか上手くコミュニケーションをとることができず、解決に時間を要していました。

時には再度、出張しトラブルを解決しに現地入りするなど、自身の人件費や設備の停止時間等を考慮すると、ムダがかなり発生している状態でした。

そのため、ハンズフリーで遠隔支援が行える、スマートグラスを導入しようと上司に提案し、 スマートグラスの導入プロジェクトが始まりました。

スマートグラスを導入してわかったメリット

設備トラブルやメンテナンスの際に活躍

急なトラブルが発生した場合、通常は現場に行く必要がありましたが、遠隔地からの指示で復旧対応ができました。これにより、移動のためのコストや時間が削減でき、復旧時間も大幅に短縮することができました。

<遠隔地の現場に行くことでかかっていたコスト>

・移動で発生する人件費:6万円(移動時間:6時間)

・移動にかかる交通費:4万円

1回あたりの出張費用:10万円弱

しかし、スマートグラスを導入してからはコストを大幅に削減できました。さらに、設備のメンテナンスを行う際には、新規工場と導入した設備と、既存工場の設備が同型機のため、スマートグラスを活用すれば、『ここのスイッチを押して』『そこじゃない』など、お互いが隣にいるような感覚でメンテナンスを行うことができました。

また、ハンズフリーで現場を歩き回りながら作業を行うことができることが、スマートグラス最大の利点です。

遠隔支援で同一作業のOJTが簡単

同一作業を遠隔でOJTを行う場合、お互いにスマートグラスを使用すれば、隣で作業を教えている、教えられている感覚でOJTが可能です。動き回る作業が多い場合や、作業スペースが狭く、タブレット端末等を近くに置いておけない場合はスマートグラスが非常に重宝します。

巡視やBCPにも活用できる

安全巡視や品質巡視など、大勢で現場を歩き回ることが、コロナ禍では問題視されていました。そこで、スマートグラスを少人数が装着し、現場の映像を共有するといった、新しい形の巡視が、私の職場では主流となってきています。

また、巡視だけではなく、災害時に現場の状況をスマートグラスで、リアルタイムで共有する訓練も行い、BCPでも活躍できるアイテムだと感じています。

スマートグラスの導入前

スマートグラスの導入前のポイントについて記載したいと思います。

導入に際して、よく検討しましょう。

まず、率直に使ったことがないので、何を導入して良いかわからなかったです。私たちの場合も、4機種程試着してから、導入するものを決めました。現場に合うものや、やりたいことができる機種をよく検討されると良いかと思います。もし、ひいきにしている商社があれば、サンプルを貸し出してくれる所もありますので、一度相談されてみてはいかがでしょうか?

使用準備に時間がかかる機種がある

こちらも、タブレット端末との比較となってしまいますが、明らかにタブレット端末の方が使いやすいと感じることがあります。

例えば、私が利用していたスマートグラスにおいては、一体型ではなかったため、周辺機器の準備(カメラ、マイク、イヤフォン)に時間がかかりました。

なるべく、通信するのに準備がかからない機種や、取り扱いが簡単なものを導入することをオススメします。

そうでないと、やはり現場で使用するツールである為、使用されなくなってしまうケースが発生するだろうと思われます。

実は活用場面が限られる

ハンズフリーで作業を行いながら、映像や音声を共有したい場合にのみ、スマートグラスが役立ちます。例えば、1on1で設備メンテナンスやトラブル解決などを行う場合には有益なツールです。

しかし、それ以外の場合において、実はタブレット端末で解決できてしまうことは多々あり、その場合は、スマートグラスを使うまでもないです。   

その為、スマートグラスを導入する前から、どういった場面でスマートグラスを活用したいのか?しっかりと考察してから導入されることをオススメします。

社内プレゼンに時間がかかるかも?

上司へのプレゼンや情報システム部門への説明を含めると、導入するまでに3ヵ月程度の期間を要しました。特に情報システム部門からは、現場を撮影し、映像をやり取りすることに関して、セキュリティーリスクがないか突っ込まれました。

当時は、コロナ前でしたので、説明が大変でしたが、現在はWeb会議に対しても抵抗がないため、スムーズに導入を進められるかもしれません。

発注してから、納入されるまでの期間は商社を通していましたが、 1週間~2週間程度で、セットアップも1時間~2時間程度で完了させることができました。

スマートグラスの導入後のポイント

スマートグラスの導入後のポイントについて記載したいと思います。

現場で自発的には使用されにくいので、事前に説明が必要

やはりスマートグラスを誰しも使用したことがないので、『タブレットでいいじゃん』となりがちです。やはりスマートグラスの最大の利点は、ハンズフリーで作業しながら、やり取りできる点なので、その点を現場の方にも理解していただく必要があります。

こういった場面ではタブレット、こういった場面はスマートグラスと、使用場面をある程度示す工夫が必要だと思います。私たちの場合は、使用場面を現場の方に説明し、場面ごとに使い分けるよう教育を行いました。するとスマートグラスの使用率も上がり、最適な使用の仕方ができていると思います。

ただし、無理やりスマートグラスを使用させるのではなく、タブレットやWebカメラの方が、効率的にやり取りできる場面がありますので、その点は注意が必要だと個人的には感じています。

とはいえ、費用対効果は良いかも?

私たちが導入したスマートグラスに関しては、2セットで70万円でした。ネットワーク環境に関しては、社内LANを使用していたため、追加でかかる費用はありません(もし、ネットワーク環境がなければ、ポケットWi-Fi等も同時に導入する必要があると思います。その場合、月々数千円は追加でかかるかと思われます)。

費用対効果として上司に説明する際には、出張にかかる費用をどれだけ抑えられるか?といった観点で示しました。前掲のとおり、1回あたりの出張費用は10万円弱でしたので、7回以上使用すればペイできます。

実際、設備のトラブル対応、OJT、巡視…等で、年間30回以上は使用したため、70万円以上の効果があったと思われ、費用対効果は良かったと言えます。

まとめ

<スマートグラスを有効に活用できる点>

 ・設備トラブルやメンテナンスの際に活躍

 ・遠隔支援で同一作業のOJTが簡単

 ・巡視やBCPにも活用できる

また、スマートグラスを実際に導入してみて、ハンズフリーで映像や音声をやり取りできる点が、スマートグラス最大のメリットだと感じています。また、出張でかかっていたコストが大幅に削減できた点もメリットだと思います。

<スマートグラスを導入する際に検討すべき点>

・活用場面が限られる

・準備に時間がかかる機種がある

タブレット端末で解決できてしまうことが多いので、ハンズフリーで作業を行いながら、映像や音声をやり取りしたいニーズがないのであれば、スマートグラスはオススメできません。 

<スマートグラスを工場に導入してみた感想>

実際にスマートグラスを導入し、使用する中で素晴らしいツールだと感じました。まだまだ活用できる場面が広がっていく可能性があると思います。スマートグラスを導入する際は、どのような場面で活用したいのか?しっかりとイメージを持ったうえで導入されると、非常に重宝するツールになると思います。

スマートグラスを導入して、私たちの場合は出張する回数も減少させることができ、上司からも別工場の方からも嬉しい声が上がっております。特に別工場の現場からは、『設備トラブルのたびに呼びつけてしまっていたが、今はスマートグラスで十分やり取りできるため、非常に有難い』と言っていただけて、私自身も導入して良かったと、心から思いました。

以上、読んで下さった方のお役に立てていれば幸いです。

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