IT分野が発達するにつれ、様々な技術が発明されました。皆さんも色々な技術をよく耳にすると思いますが、その中の一つが「ブロックチェーン」ではないのでしょうか?
ブロックチェーンはさまざまなデータのやり取りを複数のコンピュータのネットワークで同時に接続して処理や記録をするデータベースです。ブロックチェーンは取引のデータが暗号化されたり、データの改ざんが難しかったりする特徴を持ちます。そのため、多くの国では行政サービスにも導入されています。
この記事では、ブロックチェーンはDX分野でどのように活用されているのか、海外の事例を挙げながら説明します。
ブロックチェーンはDX分野で期待されている
DXはスウェーデンのウメオ大学の教授が初めて提唱したとされており、「ITの力で人々の生活を良い方向へ変える」ことを意味しています。DXは「Digital Transformation(デジタル トランスフォーメーション)」の略です。日本の経済産業省は「DX推進ガイドライン」でDXの定義をしており、定義の内容は大まかにいえば「データとデジタルを活用して社会のあらゆるものを変革すること」です。企業組織や文化、業務やプロセスなどあらゆるものをデジタルの力で変化することを意味します。
では、ブロックチェーンはなぜDX分野で期待されているのでしょう。
デジタルの世界はネットワーク上で企業間などのデータのやり取りを行うので、データの安全性が高いことが必須です。その点、ブロックチェーンはデータの改ざん防止機能を果たしており、さらにネットワークの構築は特権的な管理者を置かずに行えます。ブロックチェーンの特徴はデータのやり取りが行いやすいので、国内海外問わず様々な企業が積極的に取り入れているようです。
それでは、ブロックチェーンを活用したDXサービスの事例を見てみましょう。今回は、海外の事例を紹介します。
ブロックチェーンは地域通貨として活躍する
地域通貨は、地域経済活性化を目的としており、紙幣からデジタルへと変化させるために用いられています。例えば、限定したエリア内での決済手段として電子通貨を用いたり、QRコードの読み取りで限定したエリア内の情報が得られたり、地域の活性化のためにデジタルを活用する方法は色々です。
これから、実際に地域の活性化のために用いられた事例を挙げたいと思います。
アメリカのブロックチェーン企業である「グレインチェーン」は、マスターカードと連携して農作物の流通を可視化するプラットフォームを提供しました。
農作物の流通は、自分たちの手で生産物を製作して配送を手配し、消費者へ配送するシステムです。しかし、デジタルの発達が遅れている分野でもあるため、消費者の手に渡るまでの過程で、商品の追跡ができないこともありました。
マスターカードとグレインチェーンが提供したプラットフォームは、原材料の生産・収穫・加工・物流・消費者への配送まで全て厳格に商品の追跡ができるシステムです。このシステムは、農産物の保護と、生産者と消費者の信頼関係を築く上でとても役に立っています。
アメリカの農業分野におけるブロックチェーンの導入は、生産者の信頼性、保護性を高め、作業の効率を向上できました。
ブロックチェーンを活用した金融インフラの実用化
ブロックチェーンは金融業界でも数多く導入されています。ブロックチェーンにより、金融インフラが実用化されるからです。今回は、インドネシアの事例を紹介します。
インドネシアの資産総額第三位の大手商業銀行である PTCentral Asia Tbkではブロックチェーンを導入しています。具体的には、24時間稼働のインターネットやモバイルシステムを活用して、毎日数百万を超える取引や本人確認などのを処理しています。
銀行の本人確認にブロックチェーンを使う理由としては、ブロックチェーンに記録した情報は改ざんされないため、本人であることの保証をする役割を担っているからです。しかし、一度登録された情報は削除することができないため、個人情報は記録せずに「本人確認が済んだ」ことを記録させ、金融機関の様々な手続きが容易に行えるようになるシステムです。
不動産事務におけるブロックチェーンの活用
不動産取引では土地の登記など様々な事務手続きが必要です。これらの事務手続きもブロックチェーンの導入によって簡潔化されています。
ジョージア共和国では、土地登記の仕組みにブロックチェーンを活用したシステムを導入しました。このシステムが作られる以前は、ジョージア共和国での私有地の登記率は低く、不動産取引における大きな壁でした。ジョージア共和国の政府とBitfuryはブロックチェーンを活用して土地登記手続き費用を95%に削減することを目標に掲げました。それに合わせて法律も整備されて、より本格化なシステムになっています。
ジョージア共和国政府の取り組みは成功し、今では土地の登記率が大幅に上がっているそうです。また、土地登記でブロックチェーンを導入している国は他にも多くありますが、政府が自ら導入するのはジョージア共和国が初めてです。
まとめ
ITが発展するにつれ、様々なところで紙からデジタルへと移り変わりました。さらに、IT化に拍車をかけたのは間違いなくコロナ渦でしょう。感染を防ぐという理由から出社する代わりに家で働くようになり、多くの企業で今まで行っていた紙の手続きを全てネット上で行うようになりました。この状況を経て、様々な事務手続きをネット上で済ませられ、且つデータの改善の心配がないブロックチェーンの活用は今まで以上に重要視されています。
この記事では海外の事例を紹介しましたが、日本でも、例えば福岡県では地域活性化目的にブロックチェーンを使ったゲームや、三菱UFJファイナンシャルグループが行う銀行の事務関連における暗号通貨の活用など、多くの場所でブロックチェーンが活用されています。
これからの時代はさらに多くのブロックチェーンを活用したサービスやビジネスが増えていくでしょう。ブロックチェーンの動きをこれからよく観察することで、何か新たな気づきがあるかもしれませんね。
<参考>
https://www.cac.co.jp/product/digital-transformation/
なぜ企業はDXでブロックチェーンを使うべきなのか〜福島良典(株式会社LayerX) 藤本守(SBI R3 Japan株式会社)
https://academy.impress.co.jp/corda20201110
マスターカード(Mastercard)がサプライチェーンの透明化のために農業系ブロックチェーン企業グレインチェーン(GrainChain)との提携発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000019078.html
https://japan.zdnet.com/article/35137427/
【監修者】編集長
プライムDXブログ編集部の編集長。現在はプライムスタイル株式会社新規事業、マーケティング担当も兼務。皆様にとって役立つ情報提供を心掛けて参りたいと思います。