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諸外国に学ぶスマートシティ構想 ~DXを取り入れた街づくり~

「DX」、「スマートシティ」。昨今、こうしたワードが頻繁に聞かれるようになりました。2020年に発表されたスマートシティランキングによると、東京は79位、大阪が80位という結果でした。

欧州が上位にランクインする中、1位に輝いたのは2019年に引き続きアジアのシンガポール。しかもシンガポールは最高ランクのAAAを獲得した唯一の都市です。

(参考)https://www.imd.org/contentassets/4817f3697a834980b20dfdf8141c15ac/2columns-ranking-2020-big.jpg

この記事では、世界のスマートシティ事例をご紹介し、日本の展望についてお伝えしていきたいと思います。

世界各国のDX構想を取り入れた街づくり

シンガポール

シンガポールでは、2014年から「Smart Nation Singapore」という施策が進められています。

デジタル技術とデータの活用を通じて、少子高齢化、交通渋滞等の国が抱える課題の解決、イノベーションの創出および国民生活の向上を目指す政策を指します。

Smart Nation Singaporeでは6つの分野が設定されているのですが、その中でも”Punggol Digital District (PDD)”というスマートシティー開発プロジェクトが目玉です。

シンガポールの北東部に位置するPunggol地区の開発や産官学連携による技術開発等を通して、新たな産業と雇用を創出し、活気に満ちた強力なコミュニティーを育成することを目指しています。

都市開発や情報通信政策、政府機関、ディベロッパー系、エネルギー系、民間企業、大学、研究機関など実に多様な組織の下、さまざまなインフラの整備が進められており、世界的にも注目を浴びています。

(参考)https://www.hitachiconsulting.co.jp/column/asia_data/01/index.html

トロント

カナダのトロントでは、2017年10月にGoogleのグループ会社であるSidewalk Labsが、トロントのQuayside地区を「Sidewalk Toronto」という名のスマートシティとして再開発することを発表しました。

諸外国と異なるのは、交通手段や不動産のスマート化ではなく、スマートな都市を土地開発から作ることを目指している点です。

例えば、クリーンエネルギーの活用、デジタルマネジメントツールによるエネルギーの省エネ化、コンクリートや鉄筋よりも環境に優しい建材を用いた住宅設計など、環境面に配慮した取り組みがなされています。

また、Quayside地区では、住民の安全を守るため物流車両の交通を街の地下に整備し、歩行者、自転車、車両専用レーンなど、速度に合わせレーンを分けることで、歩行者と車両の接触事故やそれによる交通渋滞などを緩和できる仕組み作りをしています。

Sidewalk Torontoプロジェクトでは経済活性化を図るだけではなく、住民や環境にとって最適な暮らしを実現しようとしています。しかし、Sidewalk LabsがGoogleのグループ会社とあって、収集したデータの利活用やプライバシー問題をめぐり議論が繰り広げられています。

企業主導型の計画であるが故に商業利用との切り離しが非常に重要な課題となっています。

(参考)https://www.sumave.com/20200128_15684/

ニューヨーク

アメリカのニューヨークでは、2015年から「LinkNYC」と呼ばれる、市内の利用されていない公衆電話を無料Wi-Fiスポットのキオスクに変換するインフラ整備プロジェクトが導入されています。

USBポートも搭載しているので充電もでき、緊急電話へのダイヤルや、アメリカ国内の無料電話 (ビデオ通話も可能)など、ニューヨーカーのみならず観光客の利用も増えてきています。

導入から5年目、働く人のためのスマートな環境づくりという側面でも大きな期待が寄せられています。

LinkNYCが進めるDXには5Gの普及促進が挙げられます。

5Gの通信インフラは、シェアバイクサービスのような公共交通機関のMaaS化の大きな後押しとなります。ニューヨークでは深刻な通勤渋滞が問題視されていますが、高度な通信技術を活用した都市交通計画整理や、新たなスマート交通機関の普及が実現する日もそう遠くないかもしれません。

さらに、スマートシティ構想の流れに伴い、LinkNYCは現在の機能に加え、新たなシステムの導入も検討されています。前述のSidewalk LabsがこのLinkを都市データ感知システムとして使用するという案を出しました。これにより、温度や湿度、CO2などの環境データを蓄積し、都市の綿密なデータ分析が行えます。

現在のLink数は1200台程度ですが、同プロジェクトでは2024年までに7500台の設置を目標としています。将来的には市内のいたる場所でギガビット通信が可能になり、観光客とニューヨーカーにとって、気軽に必要な情報が得られる街へと進化することでしょう。

(参考)https://www.workersresort.com/jp/technology/linknyc19/

バルセロナ

スペインのバルセロナは、ヨーロッパの中でも早期からDXを活用した施策を打ち出し、スマートシティを目指すフロントランナーとして大きな注目を集めてきました。

しかし2015年、これまでの政策方針を大きく見直し事実上スマートシティ部門を廃止。新たに「バルセロナ・デジタルシティ」計画をスタートさせました。

主な取り組みは以下の3点です。

1. City OS

都市のリアルタイムデータを一元管理する統合プラットフォームと、それらを市民に公開するウェブポータル

2. デシディム

市民自らが課題を共有し新たな政策を提案するためのオンライン参加型プラットフォーム

3. バルセロナ・オープンデータ・チャレンジ

バルセロナ市が公開しているオープンデータをもとに社会の課題を見つけ出し、その解決策を生み出すことを狙いとする若者を対象としたコンペティション

バルセロナ・オープンデータ・チャレンジにより、将来国を支える若者が自ら都市について向き合い、「自分達の街は自分達で変えられる」という感覚を育むきっかけとなります。

また、デシディムのようにオンラインだけが重視されているわけではなく、リアル(オフライン)ミーティングも年100回以上実施。オンライン活用に慣れていない市民も取りこぼさないためです。

テクノロジー・ファーストからピープル・ファーストへ。それが、バルセロナの目指すスマートシティを超えるの都市の姿なのでしょう。

(参考)https://news.yahoo.co.jp/articles/980f10e9223fae8072152fe2e3072a82c4054523?page=1

まとめ

いかがでしたでしょうか。アジア、北米、ヨーロッパの代表的な国におけるスマートシティをみてきました。

国ごとに抱える問題や地域事情が異なり、目指すスマートシティの形も異なります。

何が正解で、何が誤りということもありませんから、非常に難しく奥が深いものです。

2020年1月、日本でもトヨタがコネクティッド・シティプロジェクトを発表したばかりですが、トロントの企業主導型街づくりのケースから学べることも多いのではないでしょうか。

様々な世代、性別、価値観…それぞれの声を反映して形作ることは容易ではありません。ですが自治体や企業、住民がそれぞれ歩み寄って連携し、プライバシー問題などの壁を乗り越えることで理想の街づくりの実現にきっと近づくはずです。

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