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インフラビジネスにおけるDXとは?DXの必要性と現状

今日話題となっているDXとは「デジタルによる変革」のことであり、ITの活用を前提として、日常生活やビジネス・行政上の慣習などを見直し、よりよい社会に変革させることをいいます。日本経済新聞社がまとめた2020年の設備投資動向調査によると、企業IT投資の計画額は、前年度実績比15.8%と大幅に増加する見通しです。

新型コロナウイルスの感染拡大で、企業全体の設備投資額が減少している中、DXに積極投資をする企業が増えているのは、DXを加速させることによって業績向上に取り組んでいるからだと考えられます。

また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、公共工事の現場において非接触・リモート型の働き方に転換するなど、感染症リスクにおいても強靱な経済構造の構築を加速することが早急に解決すべき課題として浮上したことが要因となり、更なるDX化が進んでいるのです。

近頃i-Constructionという取組みが国土交通省により推進されています。i-Constructionとは測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全ての事業プロセスでICTを導入することにより建設生産システム全体の生産性向上を目指す取組みです。それでは、なぜインフラ分野にこうしたDXのスポットが当てられるようになったのでしょうか。

(参考)

001368784.pdf (mlit.go.jp)

200729_02.pdf (mlit.go.jp)

https://www.mlit.go.jp/tec/content/200729_03-2.pdf

デジタル投資15.8%増 今年度本社調査: 日本経済新聞 (nikkei.com)

“i-Construction”ってなに?国交省が推進する取り組みを日本一わかりやすく解説 | シェルフィー株式会社 (shelfy.co.jp)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは: 日本経済新聞 (nikkei.com)

インフラ分野におけるDXの必要性

インフラ分野において、災害対策やインフラの老朽化対策はなくてはならないものであり、かつても今後も変わらないでしょう。

では、なぜ今日インフラビジネスにおけるDXが重要視されているのでしょうか。

それは日本の人口減少問題が大きく絡んでくると言われています。インフラである道路・水道・文化施設などは人口が減ったことで管理コストが減少するわけではありません。つまり、人口が減少するということは、それらをこれまで同様管理するためには単純に一人当たりの負担が大きくなるということを意味します。これは人口の少ない過疎地域では特に深刻な問題となります。

国土交通省は「DXは社会資本や公共サービス、業務などを変えるだけでなく、国交省や所管する分野の文化、風土も変える」と考え、平成28年から ICT 技術の活用等による建設現場の生産性向上を推進しています。

また、国土交通省は(1)行動(2)経験・知識(3)モノの3つをインフラ分野のDXの3本の柱して掲げています。

  • 行動:対面式にとらわれない働き方/三密回避/映像による遠隔臨場の試行
  • 知識・経験:AI活用による熟練技能を継承/施工段取りインフラ点検での熟練技術データを民間に提供/AI開発による建設施工・インフラメンテナンスを変革
  • モノ:BIM・CIMの導入によって建設生産プロセスを変革/複数図面から推察していた内部構造や組み立て形状を可視化/数量・工事費の算出を自動化

それでは、実際のインフラ分野においてDXはどのように行われているのかをご紹介いたします。

(参考)

国内で新たに広がる「インフラビジネス」 参入機会と方策 (nri.com)

001377695.pdf (mlit.go.jp)

日刊建設工業新聞 » 国交省/インフラ分野のDX推進/働き方や知識・経験変革、20年度末までに施策提示 (decn.co.jp)

国交省が進める「インフラ分野のDX推進」とは? | 経営事項審査サポート.com (keishin-support.com)

インフラ分野のDX事例

MaaS オンデマンド移動&搬送【竹中工務店・ドコモ】

株式会社竹中工務店と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は「AI 運行バス® 」システムを活用し、建設現場における需要に応じた 貨客混載輸送を核とする「建設 MaaS™オンデマンド移動&搬送」実証実験を2020年11月5日に開始しました。

MaaSとはmobility as a serviceの略であり、ICT(情報通信技術)を活用し、バスや電車、タクシー、飛行機などの交通手段による移動を一つのサービスに統合し、ルート検索から支払いまでをシームレスにつなぐ新たな概念のことを指します。

当事例では、スマートフォン行われた乗車予約に基づき、AIが最適ルートをドライバーに提示し、乗車作業員は移動中もワークをすることが可能であり、内勤社員による運行管制やトラブル対応もICTを用いることにより可能となるというものです。

建設現場における行政協議や資材調達のための移動時間、および必要資材の搬入タイミングの遅れによる作業の待ち時間を短縮することは、生産性を向上することにつながります。また移動の効率化だけでなく、ウィズコロナにおける交通手段として、「混雑を避けられる」「感染経路を特定できる」というニーズも高まっていることから、今後の実用に期待が高まっています。

(参考)

ドコモと竹中工務店が建設DXで協業、デジタル朝礼やマストタスク管理を現場導入へ | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

20201105.pdf (takenaka.co.jp)

施工管理アプリ【アジャイルメディア・ネットワーク】

株式会社アンドパッドは現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を運営しています。2016年のサービスリリース以来、直感的で使いやすさにこだわった開発と導入・活用への徹底したサポートで、契約社数2,000社、利用社数50,000社を超えています。加えて、現在、国土交通省のNETIS (新技術情報提供システム) にも登録されており、14万人以上の建設・建築関係者が利用しているクラウド型建設プロジェクト管理サービスとなっています。

サービスの一番大きな特徴は施工現場の一元管理が出来ることです。写真や資料の管理はもちろん、報告書や工程表、見積もりの作成も可能であり、やるべきタスクや完了設定、進捗状況の確認等の社内タスク管理をすることもこのサービス一つで行うことが出来ます。さらには今まで電話やメール、FAXで行っていた協力業者の方とのやり取りもチャットによって代替されます。通常のチャットツールでは誤送信等によるセキュリティー面の不安がありますが、ANDPADは業務用チャットとして提供されている為、セキュリティ面の安全性も高くなっています。

(参考)

シェアNo.1施工管理アプリ「ANDPAD」 – ANDPAD(アンドパッド)

アンドパッド、40億円の資金調達を実施。建築業界のDX化に貢献するアライアンスを開始 | 株式会社アンドパッド (andpad.co.jp)

荒川西区川越線下流下築堤工事【金杉建設株式会社】

金杉建設株式会社は、ICT建設機械による施工、UAVによる空中写真測量と地上型レーザースキャナを使用した測量、出来形管理に締固め管理システムを使用することにより、従来施工で必要な人数と比較して180人ほどの削減に成功しました。

本工事は、荒川堤防の高さや幅が不足している箇所の解消を図るため、埼玉県さいたま市西区西遊馬地先において荒川左岸堤防の下段盛土300mを施工した工事であり、従来の手法を用いると191.75日かかると推測される土工でした。しかし、ICTを活用することで153.73日と工期は約38日短縮されました。また、工事に関わる作業員も約210人削減することが出来ただけでなく、オペレーターの熟練度に左右されない効率的な施工の実現にもつながりました。

また、測量業務では起工測量と出来形測量はUAV(ドローン)や3Dレーザースキャナを活用しするなど、金杉建設株式会社は建設に伴い積極的なDX化を進めています。

(参考)

001214457.pdf (mlit.go.jp)

000692447.pdf (mlit.go.jp)

i-Constructionへの取組み | 金杉建設 (kanasugi.co.jp)

DX推進に必要なもの

最後に、DXに必要とされるITインフラの3つの要件について紹介します。

1つ目はAIや5G等の先端技術を称した新しいサービスの開発・展開のスピード感、2つ目はDX化するために必要なデータが容易に活用できる状態にあること、3つ目は運用管理コストを抑制できることです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は機器やシステムを導入するだけでは達成することはできません。独立行政法人情報処理推進機構が2019年に発表した報告書「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」によると、専門組織を特に設置しなかった企業よりも設置した企業の方が、DX推進において、より高いレベルの成果を上げていることが分かっています。この事からも、DXをどのように行うのか、目的や手段は適切かを検討することの必要性を感じていただけると思います。

DXは開始にあたってコストもかかり、安易なことではありませんが、この記事を通して少しでも参考になるものがありましたら嬉しく思います。

(参考)

日本交通、配車5分に半減 車の位置毎秒把握: 日本経済新聞 (nikkei.com)

デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代:ITインフラ革新のあるべき方向性とは?|伊藤忠テクノソリューションズ (ctc-g.co.jp)

企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で必要なものとは? – ビジネスWebマガジン「Future Stride」|ソフトバンク (softbank.jp)

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