Dx

真のDXとは~DXを加速するために必要な条件とは~

DXの定義とは

「2025年までに多くの日本企業がDXに取り組まない限り、2025年~2030年にかけて年間12兆円もの経済損失を被る」

経済産業省が2018年9月に「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」を公表して以来、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉は特に注目されるようになりました。

しかし、DXとは何なのか、何をすれば良いのかに関しては曖昧な部分もあります。

本記事では、真のDXとは何かについて、人材、データ活用、更にはガバナンスという点に注目しながら述べていきます。

・DXの定義

経済産業省が2019年7月に公表した公表したDX推進指標では、DXを以下のように定義しています。

・ビジネス環境の激しい変化に対応し、

・データとデジタル技術を活用して、

・顧客や社会のニーズを基に、

・製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、

・業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

ここからも分かるように、DXの目的は企業の競争優位性を確保することです。企業がデジタル技術を活用することがDXなのではなく、デジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革し、企業が競争優位性を獲得することが目標にすべきゴールであるという点に注意する必要があります。

つまり、DXを推進しようと思った場合、デジタル技術によって実現したい価値を明確にすることが重要です。また、その進め方は一様ではなく、その国や組織に最適な方法で進めることが望まれます。

(参考)https://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-2.pdf

https://www.bcm.co.jp/solution-now/cat-solution-now/2020-03_2539/https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

DXの方向性について

現在世界全体で進められているDXですが、その方向性は政府の在り方や各国の企業の特徴などによって異なります。他国のDXから学ぶことも重要ですが、日本ならではの方向性をもってDXに取り組むことが求められています。ここでは、2020年5月に経団連が公表した「Digital Transformetion (DX)~価値の協創で未来をひらく~」を参考に、日本のDXの方向性、そして世界のDXの方向性について見ていきたいと思います。

・日本のDXの方向性

日本発として推し進めるべきDXは「多様な主体の協創による生活者価値実現」と言われています。これは、既存の部門や業種の垣根をなくし、生活者の価値を共有する組織が有機的につながり、生活者への高い価値を協創することを意味します。具体的には、同業種・異業種、スタートアップ、アカデミア、政府、自治体などが連携し、生活者との間の信頼を保った範囲でデータを共有・連携することが重要です。

・世界のDXの方向性

DX推進の方向性は上記のような価値協創型のものだけでなく、国や地域によって異なる特徴があります。

アメリアでは、GAFAのような巨大プラットフォーム企業が多種多様で革新的なサービスを提供し、DXを牽引してします。また、旧産業がDXにより業態変革を起こすことにも注目が集まっています。

中国の特徴は、国家主導でDX推進が行われている点です。巨大なテクノロジー企業が大規模にデータを集め、価値の共有を進めています。

EUでは各国で強みの分野を中心にDXを推進しています。EU全体でデジタル単一市場戦略を進める一方で、GDPR(EU一般データ保護規則)を施行するなど、個人の権益保護が最重要視されているという点が特徴的です。

このように日本におけるDXの方向性が分かったところで、ここからは更に詳しく、DXを推進について「人材」、DXの鍵となる「データ」、更にはそれら全体的な方向性を決める「ガバナンス」という視点で見ていきたいと思います。

(参考)https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/038_gaiyo.pdf

必要とされるDX人材とは?

DXの重要性を理解し、によって実現したい価値を明確にしても、それらを牽引できるDX人材がいなくては実現は不可能です。DX人材とは、デジタルトランスフォーメーションを進めるにあたってその企画・立案・実行を担う人材のことを指します。実際に既存システムの見直しやクラウド移行を進めようとしても、何から行えばよいか分からないという状態ではDXは推進することができません。

・DX人材とIT人材の違い

DX人材という言葉はあまり聞きなれず、IT人材というワードの方が馴染みがあるかもしれません。定義はさまざまありますが、ここでは、IT人材をDX人材を区別して考えます。IT人材とは、一般的にデジタル技術に関する知見を持っている人々のこととします。一方のDX人材とは先ほど説明したように、デジタルトランスフォーメーションを進めるにあたってその企画・立案・実行を担う人材となります。両者は共にIT技術に関する知見があるという点で共通していますが、DX人材には更にビジネスに関する知見も持っているという点が重要です。

社内のシステムを刷新するにとどまらず、企業の競争優位性を確保することが目的なのでDXプロジェクト推進においてビジネス視点を持った人材は欠かせません。

・社内DX人材の重要性

DX人材の中でも近年特に注目されているのが社内DX人材です。これには2つの理由があります。

一つ目はスピード感とコストの問題です。DXを推進する際にコンサルタントに外注するという方法がありますが、この方法ではプロジェクトのスピードが落ち、更にはコストがが嵩みます。この点から、社内でDX人材を抱えて、プロジェクト全体を内製化することが理想だと言えるでしょう。

二つ目は、知見の問題です。どんなプロジェクトでも社内の情報やデータを全て外部に持ちだすことができるわけではありません。つまり、外注するとなるとおのずと使えるデータ・提供できる知見に制限がかかります。しかし、社内の人材であれば使えるデータや知見も増えます。また、課題は現場に落ちていることが多く、社内の人間だからこそ気が付けるポイントをプロジェクトに落とし込むことができる点も、社内でDX人材を抱えるメリットになります。

このように、DX推進のためにはIT技術とビジネスの両方の知識や経験を持った人材が重要であることが分かります。しかし、DXを推進するうえでは明確な目的と有能な人材だけでは不十分です。

(参考)https://www.ntt.com/bizon/operation/human-resources.html

https://standard2017.com/dxjinzai-skill/

DXにおけるデータ活用の価値と課題

そもそもDXはデータ活用技術の飛躍的な発達に支えられています。

・DXにおけるデータの価値

デジタル技術・IT技術の進展により、データの収集、伝送、蓄積や分析が低コストかつ大規模に行えるようになりました。その結果、経営課題や社会課題がデータによって可視化されるようになりました。また、データを継続的に収集し複数の主体で共有することで、生活者のニーズに沿った多様な価値の提供が可能になります。

このようにDXを推進するにあたり、データの収集・共有・連携は非常に重要です。

・データをめぐる制度・ルール

DXにおけるデータ活用の重要性は先に述べた通りですが、データ活用に当たっては制度面、ルール作成において様々な課題があります。具体的には、セキュリティ、データをめぐる権利や責任、個人情報の保護などが挙げられます。

これらの課題をめぐり、各国・地域がデータ活用の主導権を握るべくルール構築、制度改正に乗り出しています。例えばEUでは2019年まではデジタル分野への規制強化の動きが強かったですが、2020年2月に出された「欧州データ戦略」では、EUの強み分野における産業データの連携を進める方針を示しています。また、米国においては州ごとに個人情報保護の規制を行う動きが見られる一方で、連邦規模での法整備も検討されています。

日本においては2019年6月のG20 大阪サミットで確認された「信頼のある自由なデータ流通」を具体化するための動きとして、WTOにおける電子商取引交渉があります。日米欧間で個人情報を保護を前提とした上でのデータの共有・連携に向けて動き出しています。

この度の新型コロナウィルス(COVID-19)において、各国間での情報の共有の重要性が強く確認されていましたが、それと同時に個人の情報やプライバシー、情報管理の責任に関するきまりが整備していく必要があります。

このようにDX加速にはデータ活用が欠かせませんが、プライバシーと利便性を両立するための制度や仕組み作りが重要になってきます。

(参考)https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/038_honbun.pdf

ガバナンスの役割

最後に、デジタルガバナンス・コードを基に、国内企業が目指すべきデジタルガバナンスのあるべき姿について検討します。

デジタルガバナンス・コードとは、企業が経営を行う上でデジタル技術による社会変化への対応を捉え、投資家等のステークホルダーとの対話を通じて行動していくにあたっての指針のことで、経済産業省が2020年1月に立ち上げた「Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」の中で策定された取り組みのことです。

デジタルガバナンス・コードは、下記の4項目からなっており、それぞれの項目に対して基本事項(柱となる考え方、認定基準)、望ましい方向性、取組例についてかかれています。

  1. 経営ビジョン・ビジネスモデル
  2. 戦略

   2-1.組織づくり・人材に関する方策

   2-2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策

3.成果と重要な成果指標

4.ガバナンスシステム

各項目について、詳細を見ていきます。

1.経営ビジョン・ビジネスモデル

DX時代において企業はビジネスとITシステムを別々のものではなく一体的に捉え、経営ビジョンやビジネスモデルの設計を行うことが求められます。また、各ステークホルダーにそれらを価値創造のストーリーを共有する必要があります。

2.戦略

DX時代の競争環境下において、デジタル技術を活かした戦略を策定し、ステークホルダーに提示していくことが重要です。具体的には、IT/デジタル戦略のポートフォリオにおいて目的にコミットしていて、かつ合理的な予算配分がなされていることなどが望ましい方向性として考えられます。また、デジタル戦略に予算を割り振るだけでなく、それを活用できる組織づくりや人材確保、システム等の環境構築を行うことも重要な戦略となります。

3.成果と重要な成果指標

立てた戦略の達成度を測る指標を定め、指標に基づく評価を公表することも組織として重要なことです。

4.ガバナンスシステム

経営者は、上記のようなDX推進の戦略実施にあたり、DXはIT部門のみで起こる変革ではなく、企業全体を巻き込んだ変革であるという点を強く認識し、組織内の統制を図ると共に、各ステークホルダーへの情報発信を率先して行う必要があります。

このように真のDX推進は、システムのみが変革することや単にシステムに詳しい人材を増やすことではなく、企業のビジネスモデルや経営戦略そのものが刷新されることによって起こる企業とそのステークホルダー全体を巻き込んだ大変革といえるでしょう。

本記事を参考にDXに取り組んでいただければと思います。

(参考)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/dgs5/pdf/20201109_01.pdf

https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/reports/2020/0526/

 

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