AI

DX時代における機械学習の利用法

機会学習とは?

機械学習とは、「データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術」とAI(人工知能)に関わる分析技術を指しています。

AIに関わる分析技術として「機械学習」が挙げられ、機械学習の一つの技術として「ディープラーニング(深層学習)」が挙げられます。つまり、「AI」「機械学習」「ディープラーニング」にはそれぞれ包含関係があります。本記事ではDXを実現するためのAIについて、機械学習に視点を置いて解説します。

DXとAIの関係性

AIはDXを実現するための技術的要素の一つと言えます。

しかし、AIはDXにおいて、他の構成要素とは違った、もう少し重要な役割を果たしています。それは、AI自体が、その成功のためにさまざまな領域を横断した取り組みを求める存在と言えるからです。

現在主流となっている機械学習を応用したAIでは、大量のデータに基づいたモデルの構築を行います。

そして、AIの価値を最大限に引き出すために、新しいビジネスモデルの検討が求められます。

もちろん、現行業務の一部をAIに代替するだけでも、コストの削減といった効果は得られるかもしれません。

しかし、例えばコストを削減した上で、顧客サービスのリードタイムを短縮する、人間では困難な高精度作業や大規模作業を実現する、時間や場所にしばられないサービス提供を実現する、などを行えるのがAIの魅力です。

このようなビジネスモデルの検討まで踏み込むのが理想であり、AI導入に取り組むこと自体がミニDXプロジェクトと言えます。

参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2005/29/news027_3.html

機械学習の有用性

本記事では、機械学習で解決する課題として以下の5分野に大きく分類しました。

・売上向上

「ベテランの経験や勘に頼っていた部分を“見える化”して再現性を高くすることで、売上を伸ばす」

 例えば、タクシー配車予測では、これまでベテランのドライバーが持っていた土地勘や経験で補っていた乗客の予測を、機械学習によって過去の実績データに基づく予測モデルを活用することで、人員に関係なく高精度で乗客がいそうな場所に移動することができ、タクシーの乗車率を向上させ、売上を伸ばすことも期待できます。

 また小売業界では、顧客の動線分析や属性分析など、今まで取得できていなかった実店舗でのデータが可視化されます。これまで担当者の経験や勘に頼っていた仮説や効果検証が数値ベースでできるようになり、商品配置などの改善施策の成功確度や再現性の向上によって売上を伸ばすことが期待できます。

・コスト削減

「費用や時間などのコストを可能な限りカットする」

 社内マニュアルや顧客サポートマニュアルなどの文字データに基づいたチャットボットを機械学習によって作成します。これによって、Webからのお問い合わせへの対応や、社内のヘルプデスクへの対応などを自動で行えるようにすることで、カスタマーサポートの負荷軽減や問い合わせにかかる時間の短縮、人的コストの削減などが期待でき、実際に導入している企業は増えています。

 また、従来人の手で入力していた書類の入力作業について、手書き文字を機械学習して認識できるツールを使用することにより、作業時間を大幅に削減することができます。これは物流・保険・金融と様々な業界での導入が進んでいます。

・信頼性担保

「企業や製品の信頼性や安全性を向上させる」

パンフレットなどの印刷物や広告制作物において、原稿の内容は特定の担当者が確認して校正しており、確認側のチェックの負担や校正スキルの属人化などが課題となっていました。そこで、業界・企業特有の表記や専門用語を認識するAIを機械学習によって作成し、一定の基準に沿って誤表記の検出や文章の校閲・校正が可能になり、作業者の負担軽減やヒューマンエラーの減少などを実現しています。

 医療においては、内視鏡検査の医師による病変の見落としの危険性や、限られた時間内で大量のWチェックを目視で行うことによる医師への負担が危惧されていました。そこで、大量の内視鏡画像を学習させたAIを活用して、内視鏡画像から病変を見つける作業を行い、がんの発見と医師の負担を軽減する取り組みがはじまっています。

・監視/管理

「長時間の定点観測など監視/管理」

顔認証システムは様々な場所で活用されていますが、中国では既に公共機関で導入されています。不正防止や利用者の利便性向上などが期待できます。今回の事例は高齢者限定ですが、すべての人がカードやスマートフォンを持たずとも改札を通ることができる日が近づいているかもしれません。

 また、Jリーグではホームチームへスタジアムへの来場者数を報告する義務がありますが、従来はカウンターで計測しており、来場者の性別や年齢など属性までは把握できない状況でした。スタジアムの入場に顔認証システムを導入することで、来場者の属性などを把握できるようになります。今後、スタジアムの立地や気温や天気、チームの順位など様々な要因を含めて分析することで、集客予測の実現にも期待が集まります。

・人員不足解消

「少子高齢化や人口減少などによる人手不足に対して、省力化や自動化で対応する」

物流業界では、Amazonなどオンラインショッピングの普及に伴って、配送件数や頻度が増加し、配送の効率化が課題となっています。そこで、AIを活用した配送ルート最適化による移動時間の短縮やベテラン配送運転者のノウハウの形式知化などに向けた取り組みが行われています。

 検品の自動化という分野では、熟練作業員でないと検査の精度や時間がばらつくことや長時間の高負荷作業であることが課題でした。そして、できるだけ低コストに労力をかけずに安心安全の信頼を担保していくために、従来、目視で検査していた作業をAIで自動検品するシステムや装置の開発が進んでいます。

機械学習を用いたビジネスモデル変革事例

・USAA チャットボット

USAAは米テキサス州に拠点を置く金融機関です。1922年に設立された古い企業であり、顧客は米国の軍事関係者やその家族です。1200万人以上の利用者に銀行や保険といった金融サービスを提供しています。

彼らが17年に導入した新たな技術が、AIを活用した音声によるチャットbotです。このチャットbotによって、人間の顧客担当者の負荷を減らすことができました。

しかしそれで終わりではありません。同社はチャットbotと顧客データベースをリアルタイムに結び付けることにより、顧客にたいする返答を、彼らが置かれた状況や抱えている課題に基づいてきめ細かに調整するという対応を実現しています。

 USAAの顧客は軍関係者であるため、任務による派遣や、ローテーションなど移動が頻繁に発生します。そうした移動や定着をスムーズに進める支援や、居住地や任務の内容に基づいた金融サービスを提供しています。同社の従業員数は約3万人であり、その数で1200万人の顧客に対して、瞬時に的確なサービス内容を割り出すことは、従来では難しい作業でした。

 しかし顧客対応の多くをチャットbotに任せることで、USAAは個々の顧客に対し、最適な提案をすることが可能になりました。特にUSAAは実店舗を持たないため、チャットbot化によって顧客に最初に接するのがほぼAIという状況になります。もちろんAIで対応できないリクエストについては、人間の担当者にエスカレーションされるようになっています。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2005/29/news027_3.html

・インキュビット トマトの自動収穫

トマトの収穫作業を自動化: 画像認識技術を強みとしている株式会社インキュビットは、ディープラーニングを使って、トマトの収穫作業を自動化する技術を開発しました。

ディープラーニングによる学習データとして、実際に農家へ出向き、トマトやキュウリなどの作物の写真を撮ってきました。撮影した写真を基に、あらかじめ実、枝、幹、蔕(へた)などの部分ごとに区分けしてから人工知能モデルに学習させます。

その後、画像内の作物の部分を自動的に色分けできるまでに精度を上げていきます。いざモデルが完成し、正確に作物の部位を認識できるようになれば、実から何cm上の部分を切り取って収穫する、などといった作業が機械によって可能となってきます。

また作物の収穫だけでなく、実の熟し具合の判別にも活用できます。

正確に実を認識することで、熟し具合を測定するために必要な個所を判別できるため、植物の別の部分を測定して誤った測定につながることも防げます。

さらに葉の部分を正確に認識することで、植物の風通しを良くするための葉かき作業に応用することもできます。

参考:https://lionbridge.ai/ja/articles/jirei/

一見万能に見える機械学習だが、目的を見失ってはならない

本記事ではDXを実現する構成要素としてのAIについて、機械学習が応用できる事例をについて解説しました。AIの活用が注目されると同時に、機械学習の基になるデータについても価値が再認識されています。

データを活用し、機械学習を経たAIによってDXを実現することができるように見えますが、目的はAIを活用することではありません。大切なのは、ビジネスの課題と目的を明確にすることです。最終的に何をしたいかが明確でないと、思うような結果にならない可能性が高いからです。

例えば営業であれば、クライアントに合ったデータを瞬時に提示できることで商談の成約率も大きく向上するでしょう。また、営業企画はより大きな視点で分析を行うことが可能になり、会社の戦略も大きく伸びるでしょう。

経営管理の部署においては、リアルタイムで売上データやユーザの動きを把握できることで、迅速に経営の舵を切ることができるようになるかもしれません。

 企画においては、外部の市場分析とともに内部の状況をリアルタイムに把握することで、ユーザの課題を把握し、新たな機能やサービスの着想につながる可能性もあります。

 そして、上記の全ては最終的にはユーザの価値に直結し、ひいては日本社会全体がIT技術によって豊かになっていくことに繋がります。

自社の各部署がアップデートされることで、ユーザに提供できる価値が増える、そんな目的を各社で再認識しながら、しっかりとアクションステップを確認し、DXを実現していただきたいと思います。

参考:https://ainow.ai/2019/12/02/181355/

 

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